2025年版:フィリピン人材雇用とMWO申請の完全ガイド


2025年版:フィリピン人材雇用とDMW申請の完全ガイド

フィリピンMWO(海外雇用許可)とは?基本理解

フィリピンで優秀な人材を直接雇用するためには、「フィリピン海外労働者省(DMW: Department of Migrant Workers)及びその海外事務所(MWO: Migrant Workers Office)による承認」、つまり「海外雇用証明書(OEC: Overseas Employment Certificate)の発行権限」の取得が必須ステップです。フィリピン海外労働者省(DMW)が2022年に設立され、これまでDOLE(労働雇用省)傘下のPOEA(海外雇用庁)が担っていた業務を統合し、今ではすべての海外労働者保護と雇用許可を一元的に管理しています。現地の法律(共和国法第11641号)に基づき、フィリピン人労働者が海外企業に直接雇用される際、雇用主側はDMW/MWOの承認を取得しなければなりません。これは、違法雇用や人身取引を防止し、労働者の権利を包括的に保護するための法的枠組みの根幹です。

最大のメリット

このMWOを取得する最大のメリットは、貴社がフィリピンの最新労働法規(DMWガイドライン)に完全に準拠していることを公式に証明できる点にあります。これにより、無自覚な違法雇用による罰金(最高200万PHP)、ビザ発給拒否、事業停止命令、またはブランドイメージの毀損といった深刻なリスクを未然に回避可能です。合法的な雇用基盤を確立することで、貴社が責任ある雇用主であることを対外的にアピールし、採用プロセスの管理によるミスマッチ防止といったビジネスメリットも享受できます。つまり、MWO取得は単なるリスク管理にとどまらず、中長期的なコスト効率と人材品質向上への戦略的投資なのです。

当然ながら、取得プロセスには一定の時間がかかる点は理解すべきでしょう。申請には通常2~4週間を要し、書類不備があるとさらに遅延します。DMWのオンラインポータルで効率化が進んでいますが、あまり上手に機能していないのが現状です。。しかし、この「遅延リスク」は、早期のスケジュール立案と、フィリピン移民法やDMW手続きに精通した専門家(弁護士またはコンサルタント)との連携で大幅に軽減可能です。未承認状態での雇用は法的リスクが極めて高く、刑事罰の対象となるため、プロアクティブな準備が不可欠。2025年、DMWはデジタル化を加速し、申請処理の迅速化を推進しており、より効率的な運用が少しずつ実現しています。フィリピン人材を安定的かつ合法的に活用するなら、MWO取得は単なる事務手続きではなく、貴社のグローバル人材戦略を成功に導く礎となるでしょう。

MWO申請が必要な対象者と適用条件

日本の人事・経営の皆様、特にフィリピン人材の確実な受け入れを検討されている担当者様へ。スムーズな雇用開始の第一歩となるのが、フィリピン政府への必須手続き「MWO(Migrant Workers Office)承認」の取得です。この手続きは貴社の法的義務であると同時に、人材が合法的に日本へ出発できるための絶対条件です。MWO承認はフィリピン海外雇用庁(Department of Migrant Workers, 通称DMW)が管理しており、DMW公式ガイドラインでも明記されています。対象となるのは、フィリピンに居住する人材を日本で継続雇用する全てのケースであり、具体例をご説明します。なお、2025年においても申請フローは継続され、DMWによるオンライン申請システムの強化が進んでおり、より効率的な手続きが可能になっています。

主な対象ケースと職種例:

  • 現地採用枠での雇用(フィリピン拠点から赴任):日本企業のフィリピン現地法人、支店、または事務所の社員(例:支店長、営業担当、エンジニア、日本語教師など)を任意の日本の本社・支社に異動・出向させる場合。
  • 育成就労制度(旧技能実習制度)による受入れ(2025年施行対策含む):監理団体を通じてフィリピン人育成就労生を受入れる場合(建設業、農業、食品製造など)。2024年の法改正で技能実習制度は育成就労制度へ移行が進んでいますが、MWO申請要件は変わりません。監理団体経由での申請が必須である点は法務省出入国在留管理庁の資料でも確認されます。
  • 専門的・技術的分野の就労(在留資格「技術・人文知識・国際業務」等):エンジニア(システム開発、機械設計等)、ワーキングホリデー終了後の継続雇用など、就労ビザ取得予定のポジションでの採用。
  • 日本人同様の雇用契約での直接雇用:日本人社員と同様の直接雇用契約をフィリピンで採用し、日本で働いてもらう場合(役員、管理職、専門職を含む)。このケースでは、フィリピン共和国法No. 10022(海外雇用法)に基づき、DMWの承認が義務付けられています。

重要な例外と注意すべきポイント:

  • フィリピン現地法人の現地採用者を現地で勤務させる場合:フィリピン国内に閉じた雇用にはMWO承認は不要です。
  • 個人事業主や現地法人との「業務委託契約」のみの関係:直接的な雇用契約が存在しない場合は一般に適用外です。ただし、実質雇用とみなされる偽装請負にはリスクがあり、DMWは厳格に判断します。
  • 観光ビザ等での短期出張や短期滞在:就労を目的としない短期的な滞在(会議出席、研修受講、短期調査など)はMWO対象外です。ただし、業務遂行のための就労には在留資格(ビザ)が必要であり、MWOとは別の問題です。

申請主体:「日本側の雇用主(皆さんの会社)」となる点に注意してください。MWOを申請するのはフィリピン人材本人ではなく、日本で雇用主となる企業が主導責任を持って行います。現地代理人等を活用する場合でも、責任の所在は貴社にあります。申請書類の作成やMWOへの提出は郵送経由で進めることになります。オンライン署名も認められておりません。

経営層の皆様、このMWO申請は単なる書類手続きではありません。採用プロセスの要であり、無用な出発遅延や法的トラブルを避けるためにも、自社のケースが「MWO申請が必要な対象」に確実に該当するかをひとつの基準としてご確認ください。適切なタイミング(通常、ビザ申請前の3~6ヵ月)での申請開始が、その後の「費用と時間の最小化」につながります。

必須書類一覧:準備すべき9つの書類

企業側と従業員側、それぞれが準備すべき書類をまとめました。DMWの審査をスムーズに進めるために、各項目の詳細と注意点をご確認ください。

企業側が用意する書類

項目 説明 備考
登記簿謄本 会社の法的存在を証明する基本書類。原本は発行から3ヶ月以内、英語訳も準備。(コピー不可)。
雇用契約書案 DMW(移住労働者省)標準フォーマットに準拠した草案。職務内容・給与・労働条件を具体的に明記し法的リスクを回避。 フィリピン海外労働者省(DMW)
会社概要/パンフレット 事業内容を英文で簡潔にまとめた資料。企業の健全性と雇用の正当性を証明。
納税証明書 直近年度の書類。財務的安定性を示す必須要件。

フィリピン人労働者が提出する書類

項目 説明 備考
パスポートのカラーコピー 有効期間が契約期間+6ヶ月以上残っていることを確認。
英文履歴書 学歴・職歴を時系列で詳細記載。経歴詐称防止のため事実確認を厳格に実施。
健康診断書 保健省(DOH)認定医療機関発行のもの。結果は発行後3ヶ月以内に限定。 フィリピン保健省医療病院リスト
NBIクリアランス 海外用(For Abroad)を指定し申請。有効期限1年だが、取得に最大3週間を要するため早期手配が必須。 NBIクリアランス申請ガイド

翻訳・認証要件と有効期限のポイント

項目 注意点 / 関連情報
翻訳・認証 非英語書類(例:日本語の登記簿)には翻訳者の署名。
PDOS/PEOS受講証明 従業員がPre-Departure Orientation Seminar(PDOS)を完了した証明。オンライン講習修了証を取得必須。
有効期限管理

下記の期限切れは即時却下リスクに直結:

  • ✔ 健康診断書(3ヶ月)・企業登記簿(6ヶ月)
  • ✔ NBIクリアランス(1年)・納税証明(1年)
  • ✔ パスポート(契約終了時まで有効)※2025年4月より渡航用パスポートの有効期限厳格化実施
パスポートガイドライン改定 フィリピンパスポートガイドライン改定

これらの書類の完全網羅と期限管理で、審査期間を短縮可能DMWの電子申請システム(DMW Online)を活用すれば、プロセス効率化とコスト削減を実現します。次節「書類作成の具体的手順」で、オンライン申請の最新ノウハウをご紹介!

申請期間・費用・コンサルサービスの活用

フィリピン政府に提出する雇用認証申請の「申請期間」と「費用」は、人材採用スケジュールや予算管理に直結する重要要素です。2024年の移住労働者省(DMW)発足で制度が刷新された最新事情を踏まえ、実務で直面する疑問を解決します。MWO書類のサポートをしてくれるコンサルティングを使用することも選択肢の一つです。

1. 標準的な審査期間と緊急対応策

通常の申請期間は1~3ヶ月が目安です(DMW公式ガイドライン)。ただし地域や季節的要因で6ヶ月以上かかるケースもあり、柔軟な計画が必須。

  1. DMW認定エージェントの選定: しっかりとサポートをしてくれる送り出し機関を利用すれば最短1ヶ月でMWO登録可能
  2. AI対応の書類作成: AIを導入済みのデジタルプラットフォーム準拠形式で提出すれば不備率半減
  3. 現地リアルタイム進捗管理: 送り出し機関がDMW窓口と直接調整し遅延リスクを排除

2. 費用内訳と見積もりのポイント

総費用は「代行サービス料」で構成されます(2025年7月現在):

項目 詳細
政府手数料
  • MWOに申請料は掛かりません。
コンサルティングサービス料 標準相場:100,000~200,000円(採用人数によって変動あり)

3. コンサルティングサービスの賢い選び方

優良コンサルティング業者の4大選定基準を徹底:

  1. 送り出し機関との繋がりを確認
  2. 実績を確認
  3. クラウド進捗管理ツールを提供しているかどうか
  4. 英語対応しているかどうか

→ 失敗しない投資判断:

「初期費用」より「総合コスト削減」で評価。ある会社ではコンサルティング活用で審査期間2ヶ月→2週間に短縮し、人材早期稼働による利益を創出。

経営戦略アドバイス

MWOの初回申請はサポートの利用が絶対必要です。自社対応では平均5回の書類差し戻しが発生します。迅速な取得が競争優位の鍵となります。

却下される主な理由と予防策

貴重な時間と予算をかけて進めるフィリピン人材の採用プロセスで、中核となるMWO (Migrant Workers Office申請(旧・POLO/DMW制度)が却下されれば、採用計画の遅延や追加コストは避けられません。申請却下率は平均60~80%と決して低くなく、その多くが事前に対処可能な書類不備によるものです。特に以下のポイントを徹底することで、却下リスクを劇的に低減できます。

1. 避けるべき致命的な書類不備とその対策

  1. 問題点: 翻訳ミス/不備
    和文書類の 英語翻訳時、会社名・代表者名・会社住所の誤訳リスクが高い。
    予防策: MWO申請に慣れている翻訳会社を利用。社内チェックでは、会社名・代表者名・会社住所をダブル確認。
  2. 問題点: 有効期限切れ書類
    会社登記簿謄本、財務諸表、営業許可証の超有効期限切れが頻発。
    予防策: 申請7日前に確定書類を再取得
  3. 問題点: 基本記載漏れ&署名瑕疵
    署名欄空白・押印漏れ、日付不整合など形式不備。
    予防策: DMW公式チェックリストを基に項目別審査シートを作成。担当者がサイン・日付全項目を確認。

2. 雇用条件の矛盾点を洗い出す整合性チェック

書類間矛盾やフィリピン共和国法第8042号(移住労働者法)違反があれば即却下。以下を厳格に点検:

  1. 問題点: 給与の一貫性
    契約書・職務記述書(Job Description)・DMW申請フォームの基本給が完全一致。
  2. 問題点: 職務内容の整合性
    JD記載業務と契約書・申請フォームの整合性。特に技能職では業務範囲と資格の適合性(例:看護師応募に実務要件不備)を精査し、就労ビザ対象職種リストと照合。
  3. 問題点: 福利厚生の明示義務
    住宅手当・健康保険・年次有給休暇を数値明示。
  4. 問題点: 労働法準拠性
    日本の労働基準法に即した週休2日・残業賃金率(平日25%増/休日30%増)の明文化が不可欠

3. 却下時の再申請効率化フロー

評価結果(Evaluation Result)受領時はパニック回避し、最小2週間での再申請を目指します:

  1. 却下理由の即時解釈: MWO通知書の全箇所に反論権利が明記。所在地・職種コード不一致(例:ITマネージャーを「技術職」誤分類)は送り出し機関に分析依頼。
  2. 修正指示への厳密対応: 要修正箇所へ一字一句忠実に対応。「ほぼ同じ解釈」は再却下リスクを80%高めます。追加書類はDMW指定様式で作成し、誤訳防止の二言語併記を徹底。
  3. 再提出期限厳守: 特にありませんが、早いほど良いです。

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