
【定着率向上】フィリピン人特有の恩義の文化「ウタン・ナ・ローブ」を活かして組織のロイヤリティを最大化するマネジメント術
日本国内の労働力不足が深刻化する中、特定技能や技・人・国(技術・人文知識・国際業務)ビザを活用したフィリピン人材の採用は、多くの企業にとって「成長の鍵」となっています。しかし、多くの経営者や人事担当者が直面するのが、「せっかく採用し、教育した人材がすぐに辞めてしまうのではないか」という定着率(リテンション)への不安です。
フィリピン人材は非常にホスピタリティが高く、勤勉である一方、彼らの行動原理の根底にある「文化的な力学」を理解していないと、組織へのロイヤリティ(忠誠心)を育むことは困難です。そのキーワードとなるのが、フィリピン独自の恩義の文化「ウタン・ナ・ローブ(Utang na Loob)」です。
本記事では、フィリピン人材の定着率を劇的に向上させ、強固な組織を構築するための「ウタン・ナ・ローブ」を活用したマネジメント術を、エグゼクティブ・リクルートメント・コンサルタントの視点から詳しく解説します。
この記事のポイント(Executive Summary)
- ウタン・ナ・ローブの理解: 単なる「借り」ではなく、一生続く「心の恩義」として理解する。
- 情のマネジメント: ドライな雇用関係ではなく、家族的な「マナサキット(思いやり)」がロイヤリティを生む。
- 離職防止の核心: 心理的負債をポジティブに活用し、「この会社のために働きたい」と思わせる仕組みを作る。
1. フィリピン人の行動原理「ウタン・ナ・ローブ」とは何か
「ウタン・ナ・ローブ(Utang na Loob)」は、直訳すると「内部からの借金」、つまり「心の恩義」を意味します。これはフィリピン社会において最も重要な倫理観の一つであり、他者から受けた親切や助けに対して、一生かけて報いようとする強い心理的義務感を指します。
日本にも「義理・人情」という言葉がありますが、ウタン・ナ・ローブはそれよりもさらに深く、感情的な結びつきが強いのが特徴です。例えば、困っている時に上司が個人的な相談に乗ってくれた、家族の病気を心配してくれた、あるいは日本での生活に馴染めるよう格別の配慮をしてくれたといった経験が、フィリピン人材にとっての「恩」となります。
この恩義を感じたフィリピン人材は、給与条件が多少良い他社から誘いがあったとしても、「あの時助けてくれた社長を裏切ることはできない」という強いブレーキが働き、結果として長期的な定着につながるのです。
2. ロイヤリティを最大化する「マナサキット(Malasakit)」の実践
ウタン・ナ・ローブを組織内で醸成するためには、経営者や管理職による「マナサキット(Malasakit)」という姿勢が不可欠です。これは「自分事のように心配する」「献身的な配慮」を意味します。
フィリピン人材が会社に対して「ここは自分の居場所だ」と感じるための具体的なアクションは、決して金銭的な報酬だけではありません。以下の3つのアプローチが、ロイヤリティの最大化に直結します。
- 家族への関心を示す: フィリピン人にとって家族は人生の最優先事項です。スタッフ本人の誕生日だけでなく、子供の入学や家族の健康状態に気を配り、声をかけるだけで、彼らは強い帰属意識を感じます。
- 「個」としての承認: 大勢の中の一人としてではなく、名前を呼び、彼らの強みを具体的に褒めること。公の場での称賛は、彼らの自尊心(アモール・プロピオ)を満たし、それを提供してくれる上司への恩義へと変わります。
- 困難な時の直接的サポート: 日本での生活トラブルや役所の手続きなど、彼らが真に困っている時に「一歩踏み込んだ助け」を提供することが、決定的なウタン・ナ・ローブを生みます。
日欧米型マネジメントとフィリピン型マネジメントの比較
| 比較項目 | 従来の日欧米型(ドライ) | フィリピン型(ウェット) |
|---|---|---|
| 関係性 | 契約に基づいたビジネス関係 | 家族に近い信頼・恩義関係 |
| モチベーション | 昇給・昇進・個人の成果 | 周囲への貢献・感謝・承認 |
| 離職の理由 | キャリアアップ・給与不満 | 人間関係の悪化・孤独感 |
3. ウタン・ナ・ローブの「落とし穴」とリスク管理
恩義の文化は強力な武器になりますが、マネジメント側が注意すべき点も存在します。ウタン・ナ・ローブは相互的な期待を生むため、バランスを誤ると以下のようなリスクが生じることがあります。
- 不当な要求の温床: 「これだけ尽くしたのだから、個人的な借金をさせてほしい」といった、ビジネスの枠を超えた要求をされる可能性があります。
- 公平性の欠如: 特定の社員にだけ「恩」を売りすぎると、組織内の他のメンバーが不公平感を感じ、全体の士気が低下します。
これらのリスクを回避するためには、「情」を重んじつつも、業務上の「規律(ルール)」を明確にしておくことが重要です。「あなたのことは家族のように大切に思っているが、会社のルールとしてはここまでだ」という一線を引くことが、健全なウタン・ナ・ローブを維持するコツです。
⚠️ 採用担当者が知っておくべき法的・行政的注意点
文化的な定着策は重要ですが、前提としてフィリピン政府(DMW/旧POEA)の規定を遵守した雇用契約が必須です。また、特定技能人材の場合、登録支援機関による適切なサポートが義務付けられています。これらを怠ると、どれほど「恩義」があっても、法的に就労継続ができなくなるリスクがあります。
4. フィリピン人材のポテンシャルを引き出す「伴走型サポート」
フィリピン人材は、一度「この会社は自分を大切にしてくれる」と確信すれば、日本人が驚くほどの自己犠牲精神と忠誠心を持って働きます。彼らは単なる労働力ではなく、貴社の文化を共に創り上げるパートナーになり得る存在です。
定着率を高めるマネジメント術の要諦は、「契約書」で縛るのではなく、「心」で繋ぎ止めることにあります。ウタン・ナ・ローブの文化を理解し、彼らのホスピタリティに敬意を払うことで、離職率の低い、明るく活気のある職場環境を実現することが可能です。
Link Asia Manpower Solutionsでは、こうした文化背景の教育から、複雑なフィリピン政府(DMW)向けの手続き、そして入国後の定着支援まで、日本企業様が抱える課題をトータルで解決いたします。
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